柔道による頭部外傷は圧倒的に初心者に多い傾向にありましたが、コロナ禍になって、ある程度の経験ある者の事故が目立つようになってきました。
事故報告について、令和2年度が11件、令和3年度が8件で、そのほとんどが頭部外傷(脳しんとう)でした。
今年度(10月現在)、すでに11件の頭部外傷(脳しんとう5件、急性硬膜下血腫5件)があり、そのうち重大事故、準重大事故が3件発生し、残念ながら先日、1名が亡くなられました。
また、急性硬膜下血腫や脳出血の既往、または頭部に重大な既往症がある場合は、原則として柔道の実技は行ってはいけません。
今年度の重大事故の1件は、過去に柔道とは無関係の病気による頭部に重大な既往症のある小学生が、大外返しで投げられて急性硬膜下血腫で一時意識不明の重篤な状態に陥ったものです。
重大頭部外傷を起こしやすい病歴(柔道の事故に限らず)のある場合は、経過年数によらず原則として柔道の実技は行わないことを徹底することが重要です(詳細は「柔道の安全指導」第5版の5ページ参照)。柔道を始める時、練習環境や指導者が変わる時には、健康状態や頭部の重大な既往症の有無などを確認することが重要です。
安全指導委員会
三上靖夫